当院では根管治療(歯の神経の治療)の際に、「ラバーダム」と「マイクロスコープ」、そして必要に応じて「CT」を使用しています。 「ラバーダム」 とは、歯に装着するゴムシートです。 これを装着することで、無菌状態になり唾液やその他の菌が歯の中に入るのを防ぎます。 ラバーダムを使用すると、初回の治療(一度も触られていない根)での成功率は90%となります。 しかし、使用しない場合は50%に下がると言われています。 (再治療の場合の成功率はこの限りではなく、より低下します) さらに、このラバーダムを装着することでお口の中に器具や薬液が落下することも防止することができます。 日本でのラバーダムの使用率は非常に低く、現在一般開業医の5%以下と言われています。
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「CT」歯科のCTは範囲をかなり狭く設定できます。 例えばこの症例です。小さなレントゲン写真では根っこの先に膿が溜まっているかどうかが分かりづらいです。 下の写真はCT画像です。3次元的に確認しました。 3本根っこがある中の特に頬側の根っこの先に沢山膿が溜まっていることが確認できました。 そこで、初回のアプローチではまずそこを狙って、器具を通していくことにしました。 無事に初回で排膿(膿を出す処置)させることができ、他の2本の根っこもきれいにすることができたので、2回目の来院では痛みは消失していました。 このように、小さなデンタルレントゲン写真だけではなくCTを組み合わせることで、正確な診断ができ痛みをいち早く取り除くことが出来、難しい治療も比較的効率よく進めることができるようになりました。 奥歯の治療は、口を長時間開けているだけでも苦痛を伴います。原因である場所をいち早く突き止め、根っこの数や形を把握しておくと、治療時間や回数の短縮につながります。 |
その後、痛みも無くなったため正式なもの(ガッタパーチャ)を根っこの中に詰めました。 以前薬が詰まっていなかった部分にも入ったのが分かります。 |
「マイクロスコープ」 マイクロスコープを使用すること、肉眼では見つけられない神経の入っている穴の入り口を見つけることができます。また、中の汚れ具合や神経の残骸がこびりついているかどうかも確認することができます。 下の写真は、何年も前に他院でされた神経の治療をやり直したものです。 症状としては、上の奥歯の頬側や内側の歯ぐきにニキビのようなふくらみが何度も出たり消えたりして、時々膿が出てくるというものでした。 レントゲン写真とCTで確認すると、3本ある根っこのうち、2本の先に沢山の膿が溜まっていました。 被せを外すと中は汚れていて、オレンジ色に見えるのが以前の治療で薬を詰めてある場所です。まずこの3本をきれいにしました。 きれいにした状態です。中のオレンジ色が消えています。 しかし、よく見てみると4番目の穴が見つかりました。これは、なかなか肉眼では見つけられなかった穴です。 赤い矢印のところが4番目に見つかった穴です。 頬側に出ていた膿も止まり、痛みも無いので最終的な薬を入れました。 |
下の画像は奥歯の根管治療のレントゲン写真です。 治療後1年以上経過し、レントゲン写真で治癒具合を確認しました。 左右で比較して見てみると、歯の根の先にあった黒い画像が白っぽくなり骨が回復しているのがわかります。
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このように、現在、マイクロスコープ、CT、ラバーダムを使用することで治療効率がかなり上昇しました。患者様の顎のしんどさも改善されております。 CT、マイクロスコープを使用した治療を行い、痛みがなくなった際に最終的な薬を詰め、レントゲン写真を撮影した際に、保険治療ではありますが、3割負担の方で6000円程度の支払いになる場合がございますので、予めご了承ください。 |